
ホテルの夜勤って実際どうなんでしょうか?

元ホテルマンで、夜勤歴10年の自分に何でも聞いてください!
・ホテル夜勤の仕事内容は?
・ホテル夜勤のメリットやデメリットは?
・ホテル夜勤は暇?それともしんどい?
・女性でもOK?休憩は取れる?
このような疑問にお答えします。
元ホテルマンで10年以上夜勤に入っていた自分が、経験をもとに徹底解説しますね。
ホテルの夜勤は暇?しんどい?メリットやデメリットを徹底解説

ホテルで働きたい人が必ずといっていいほど気にするのが、夜勤のこと。
ホテルは24時間営業が基本のため、深夜だろうが早朝だろうが何かあればスタッフが対応します。
お客様が寝ている時間に、ホテルの夜勤がどんな業務をしているのか、やっぱり気になりますよね。
・夜勤は客が来ないから暇?
・意外にやることが多くてしんどい?
ホテル夜勤の実態を知らないまま勤務に入り、「こんなはずじゃなかった」と後悔することだけは避けたいもの。
実際に筆者もホテル夜勤の実態を知らないまま勤務したため、勤務前とのギャップでかなり苦労しました。

精神的にも肉体的にもしんどかったですね
このブログを読んでくださっているあなたには、そんな苦労を味わってほしくないと思っています。
そのためにも、ホテルの夜勤を10年以上続けた自分が、業務内容やメリットorデメリット、トラブル対応や休憩の実態など、ホテル夜勤の全てを徹底解説します!
ホテルの夜勤で後悔したくない人は、ぜひ最後までご覧ください。
ホテル夜勤の仕事内容
ホテル夜勤の仕事内容は、大まかな流れは以下の通りです。
①日勤者から引継ぎ
出勤したら、日勤者から業務を引き継ぎます。引き継ぎ不足はトラブルの元になるため、引き継ぎ漏れがないようしっかり確認しておきます。
②チェックインや電話対応、到着予定者の確認など
通常のチェックイン業務や電話対応をこなします。
また、到着予定時刻を大幅に過ぎている予約者には、電話などで確認を取ります。
③売上集計後、バッチ処理
その日の売上を集計し、確定したらバッチ処理に入ります。
バッチ処理とはホテル用語の1つで、簡単にいえばデータの日付更新処理のことです。
④事務作業
日報の作成や翌日到着者のアサイン(部屋割り)など、バッチ処理後は事務作業がメインです。ここを怠ると日勤者に迷惑がかかります。
⑤休憩
他のスタッフと交代で、食事や仮眠休憩を取ります。しかし、場合によっては休憩がきちんと取れないことも。※詳しくは後述します。
⑥チェックアウト業務
チェックアウト業務をこなし、早番のスタッフに業務を引き継いで退勤です。
退勤後は夜勤明けだったり、当日夜に出勤したりとシフトにより異なります。
ホテルによって違いはありますが、基本的には上記の通りです。
また大浴場の清掃や朝食会場の準備など、ホテルの設備や勤務体制により業務内容が変わることもあります。
ホテル夜勤の出勤ペース
ホテル夜勤の出勤ペースですが、基本的には以下の2通りです。
①10時間拘束の8時間勤務
10時間拘束、休憩2時間を設けて8時間勤務するペース。
例)22時出勤→翌8時退勤(休憩2時間の10時間拘束)
②18時間拘束の16時間勤務(2日分勤務)
18時間拘束、休憩2時間を設けて16時間(2日分)勤務するペース。
2日分働く場合、夜勤明けからの公休となる場合が一般的です。
例)17時出勤→翌11時退勤(明け)(休憩2時間の16時間勤務)
ただしホテルによっては「中抜け」を採用し、より拘束時間を長くしたシフトを採用していることもあります。
また、ホテルによっては宿直勤務が発生するところもあります。
宿直勤務とは、通常業務は行わず緊急時のみに対応する勤務のこと。
宿直勤務は仮眠や泊まり込みを前提としており、多くは深夜から早朝にかけて勤務します。
待機時は寝ていても構いませんが、賃金は通常勤務と比べて低めに設定されることがほとんどです。(最低で通常勤務の3分の1以上)
ホテル夜勤のメリット
ホテル夜勤のメリットは、以下の4つです。
・深夜手当がつく
・事務作業に集中できる
・上司(支配人)がいない
・夜勤明けを有効活用できる
それぞれ解説します。
深夜手当がつく
メリットの1つ目は、深夜手当がつくことです。
深夜手当とは、労働基準法37条4項に定められた、22時〜翌5時の間に発生する割増賃金のこと。
基本給の1.25倍の賃金がもらえるため、同じホテルスタッフ同士でも、日勤スタッフと夜勤スタッフではもらえる給与が変わります。
深夜手当を利用して稼ぎたい人は、夜勤は大きなメリットとなるでしょう。
事務作業に集中できる
メリットの2つ目は、事務作業に集中できることです。
深夜は来客や電話もほとんどないため、事務作業に集中できる環境が整っています。
売上の集計、翌日の到着客チェック、各種日報の作成など、ホテルの夜勤は事務作業が多くあります。
事務作業が好きで黙々と作業に集中できる人なら、夜勤はおすすめです。
上司(支配人)がいない
メリットの3つ目は、上司(支配人)がいないことです。
人によっては、上司がいると緊張して落ち着かないということもあるでしょう。
上司が夜勤メインになることはほぼないため、緊張感から開放されたい人には夜勤がおすすめ。
ただし当然ながら、上司がいないからといって業務をサボったり、ハメを外したりするのは厳禁です。
夜勤明けを有効活用できる
メリットの4つ目は、夜勤明けを有効活用できることです。
特に夜勤明けから公休のシフトの場合、連休感覚で休みが使えるのがポイント。
その気になれば、泊りがけの旅行だって可能です。

夜勤明けの異常な開放感は、夜勤を経験した人にしか味わえません
ちなみに自分は夜勤が終わったら、その足で同僚と中華屋に直行し、餃子とビールで真っ昼間から乾杯してました(笑)
こういった使い方もできるのも、夜勤ならではのメリットですね。
ホテル夜勤のデメリット
ホテル夜勤のデメリットは、次の4つです。
・不健康になりやすい
・体が慣れるまでは大変
・トラブル時の対応を求められる
・接客好きだと物足りない
順に解説します。
不健康になりやすい
デメリットの1つ目は、不健康になりやすいことです。
・自律神経やホルモンバランスの乱れ
・生活習慣病や発がん性リスクの上昇
・糖尿病や高脂血症のリスクの上昇
特に「発がん性リスクの上昇」は、見逃せないリスクです。

上記の「国際がん研究機関(IARC)」の発表にもあるように、深夜勤務などの交代制勤務は、発がん性リスクと関係していることが示されています。
夜勤には深夜手当がつくメリットがありますが、深夜手当はある意味「自分の健康と引き換え」にもらっているようなものです。
不健康になりやすいというのは、夜勤の最大のデメリットといえるでしょう。
体が慣れるまでは大変
デメリットの2つ目は、体が慣れるまでは大変だということです。
そもそも人間は、日中に活動して夜間は休むように体ができています。
人間の脳は、日中に狩りをして、夜は外敵から身を守るために休むという、狩猟生活をしていた時代から基本的に変わっていません。
そのため、体が慣れるまでは夜勤がしんどく感じます。
数ヶ月夜勤に入っても体が慣れない場合は、夜勤はやめて日勤で働くのを検討してみましょう。
トラブル時の対応を求められる
デメリットの3つ目は、トラブル時の対応を求められることです。
クレーム対応など、日勤では支配人などの上席者に相談できることも、夜勤では1人で対応しなければなりません。
また地震や火災などの緊急時の対応も、人命に関わるため的確に対応する必要があります。
夜勤時にホテルを守っているのは、支配人ではなく夜勤者です。
クレーム対応や緊急時の対応など、より責任が求められるため、人によってはデメリットと感じることもあるでしょう。
接客好きだと物足りない
デメリットの4つ目は、接客好きだと物足りなく感じることです。
当然ながら夜間は宿泊客のほとんどが就寝しているため、接客する機会はほとんどありません。
また深夜の接客対応が発生する時は、大抵は何らかのトラブルが起きた時がほとんどです。
接客メインで働きたい人は、夜勤ではなく日勤に入るのをおすすめします。
夜勤が暇なホテルの特徴

夜勤が暇なホテルの特徴は、次の2つです。
・小規模のホテル
・郊外にあるホテル
ただし、これらはあくまで「暇になりやすい」ホテルの特徴です。
上記に当てはまるからといって、必ず暇という訳ではありませんので、誤解しないでくださいね。
小規模のホテル
夜勤が暇なホテルの特徴の1つ目は、小規模のホテルです。
小規模のホテルとは、主に客室数が100室未満のホテルを指します。
客室が少ないほど、対応するお客様の人数や業務量が減るため、必然的に仕事が早く終わり、暇な時間が生まれます。
ただし、マルチタスク型の運営スタイルで、1人で何でもこなす必要があるホテルの場合は、この限りではありません。
郊外にあるホテル
夜勤が暇なホテルの特徴の2つ目は、郊外にあるホテルです。
繁華街にあるホテルと比べ、郊外にあるホテルは深夜の問い合わせやチェックインが少ない傾向にあります。
自分はホテルマン時代に、郊外のホテルと繁華街のホテルの両方に勤務しましたが、圧倒的に郊外のホテルの方が時間に余裕がありました。
問い合わせが少ない分時間に余裕ができるため、繁華街より郊外にあるホテルの方が、暇になりやすいといえるでしょう。
夜勤がしんどいホテルの特徴
夜勤がしんどいホテルの特徴は、次の4つです。
・大規模のホテル
・繁華街にあるホテル
・テーマパーク近くにあるホテル
・マルチタスク型のホテル
1つずつ解説します。
大規模のホテル
夜勤がしんどいホテルの特徴の1つ目は、大規模のホテルです。
大規模のホテルとは、主に客室数が400室以上あるようなホテルのこと。
客室数が多いほど、対応するお客様の数が増えるため、当然業務は忙しくなります。

でもその分夜勤のスタッフも多いのでは?
tomokoさんのように、その分夜勤のスタッフも多いから問題ないと思う方もいるでしょう。
しかし、夜勤のスタッフは仮眠や食事休憩などを交代で回す必要があります。
しかも、1時間ではなく、2時間や3時間といった長時間の休憩を取ります。
そのため、実際にフルメンバーで業務に従事している時間はほとんどありません。
またホテル業は離職率が高く、常に人材が不足している業界。そもそも休憩時間など関係なく、夜勤に入るスタッフ自体が不足している可能性もあります。
tomo「離職率については以下の記事で詳しく解説しています」
「大規模のホテルは夜勤スタッフも多い」と、安易に考えるのは危険です。
繁華街にあるホテル
夜勤がしんどいホテルの特徴2つ目は、繁華街にあるホテルです。
・泥酔客の対応
・客同士のケンカ
・トイレやロビーを汚される
上記は繁華街のホテルにとっては、特に多いトラブル。
自分も繁華街のホテルで夜勤をしていましたが、泥酔客の対応や客同士のトラブルはしょっちゅうありました。
またロビーやトイレなどを汚されることもあり、その度に仕事の手を止めて掃除しなければならないため、かなりしんどかった記憶があります。
ちなみに自分は歌舞伎町のホテルで夜勤をしていた人を知っていますが、夜勤スタッフの全員が慣れた様子で110番通報していたそうです(笑)
もし繁華街にあるホテルで夜勤に入るのであれば、覚悟を持って取り組んでください。
テーマパークの近くにあるホテル
夜勤がしんどいホテルの特徴3つ目は、テーマパーク近くにあるホテルです。
なぜならテーマパーク近くにあるホテルは、テーマパークの閉園後に合わせて宿泊客が押し寄せるため。
夜10時の段階で宿泊客の半分以上が未チェックイン、という状況もザラにあります。
もちろんピークタイムに合わせて人員を厚めに配置してるとは思いますが、それでも忙しいのには変わりません。
もしテーマパーク近くのホテルで夜勤を希望するのであれば、夜21時〜22時頃のホテルの様子を確認しておくのをおすすめします。
マルチタスク型のホテル
夜勤がしんどいホテルの特徴4つ目は、マルチタスク型のホテルです。
基本的にホテルにある部門の中で、夜勤があるのは宿泊部門と客室部門のみ。
ただし、近年はホテル業界の人材不足の解消を目的に、スタッフのマルチタスク化を求めているホテルも少なくありません。
マルチタスクを導入しているホテルであれば、フロント業務以外にもやることはたくさんあるでしょう。
・大浴場の清掃
・客室への対応
・駐車場の管理
・朝食の準備
上記は一例ですが、他にもさまざまな業務をこなす必要があります。
勤務人数が多い日勤者と比べ、少数精鋭が求められる夜勤は、当然ながら一人当たりの業務量も増えます。
マルチタスク型のホテルで夜勤するのであれば、猫の手も借りたいほど忙しい可能性があることを覚悟しておきましょう。
ホテル夜勤のQ&A

ホテルの夜勤について、よくあるQ&Aを2つ紹介します。
ホテルの夜勤でアルバイトなどを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Q:女性ですが、夜勤に入る上での注意点はありますか?
女性でも夜勤に入ること自体は問題ありませんが、その場合は以下の点に注意しておきましょう。
・酔客に絡まれる
夜間は酔客も増えるため、ホテルの客層が悪いと絡まれる可能性があります。
他のスタッフに助けを求めたり、ひどい場合には警察に連絡するのもアリです。
・男性客の部屋に1人で行かない
夜間の場合、基本的に女性スタッフが男性客の部屋に行くのは控えた方が無難です。
どうしても行かざる得ない場合は、防犯ブザーを持ち、客室ドアを開けたまま対応しましょう。
Q:休憩はちゃんと取れますか?
業務中の休憩時間は労働基準法で定められており、休憩時間のカットは労働基準法違反となり、罰則の対象です。
しかしながら、中には忙しいのを理由に休憩時間を疎かにするホテルも見受けられます。
もし緊急対応などで休憩が取れなかった場合は、別の時間帯で休憩時間を穴埋めする必要があります。
ただし、「次回の勤務時に休憩時間を増やす」といったような、翌日以降の勤務時間で調整するのは不可です。
いずれにしても、休憩時間が曖昧なホテルで夜勤を続ける行為は、会社にとっても自分にとってもよくありません。
支配人などと相談しても解決しない場合は、別のホテルで勤務するのをおすすめします。
まとめ
ホテルの夜勤について、仕事内容やメリット&デメリット、夜勤が暇または忙しいホテルの特徴、よくあるQ&Aについて徹底解説してきました。
ホテルの夜勤は、深夜手当などの賃金面でのメリットがある一方、生活習慣病やがん発症リスクの上昇など、健康面でのデメリットがあります。
また夜勤が比較的暇になりやすいのは、小規模ホテルや郊外にあるホテルなどが該当します。
逆に夜勤がしんどい可能性があるのは、大規模ホテルや繁華街にあるホテルなどです。
ホテルの夜勤にチャレンジしたい方は、メリットやデメリット、ホテルの立地や特徴を理解した上で、十分に検討しましょう。

今回もブログを最後までお読みいただきありがとうございます!