クレーム対応でお客様から返金を要求されました
そのケース、場合によっては不当要求に該当するかもしれません
不当要求?
なんですかそれ?
どういうことか、元ホテル支配人の自分が解説しますね!
絶対に応じてはいけないクレーム「不当要求」とは?
まず最初に、不当要求とは「不当なクレーム」ということではありません。
正確には「不当な手段を用いて、悪質な要求をする」ことが不当要求です。
例えば、レストランで食事中の客から「スープに髪の毛入ってるぞ!衛生管理はどうなってんだ!」と指摘があったとします。
この指摘だけでは、正当なクレーム要求にあてはまるため、不当要求に該当しません。
しかし、「食事代金をタダして、迷惑料も払え!」などの金銭の要求があれば不当要求に該当します。
また、金銭の要求はなくても、「テーブルを叩く」「椅子を倒す」「食器を投げつける」などの行為も不当要求です。
机や椅子を倒す行為は「脅迫罪」や「器物破損罪」
食器を投げつける行為は「暴行罪」に該当する可能性があります
いずれも「犯罪行為」になるってことですね!
どんな言動が不当要求に該当するかは、ある程度クレーム対応に慣れていないと難しい所もあります。
しかし、次に紹介する3つのキーワードにあてはまれば「不当要求」である可能性が極めて高いです。
「不当要求防止責任者講習」を受講した元ホテルの支配人の自分が、経験も元に解説します。
ぜひ最後までお読み下さい。
キーワード① 誠意を見せろ!
不当要求の可能性が高いキーワードの1つ目は「誠意を見せろ!」です。
ちなみに、誠意を見せろ!って何したら正解だと思いますか?
やっぱり返金対応しなきゃ気がします・・・
返金対応はNGですよ!
それだと相手の思うツボです!
もし相手に「誠意を見せろ」と言われて、何も考えずに返金に応じるようではクレーマーの思うツボです。
そもそも、クレーマーはなぜ素直に「返金しろ!」と言わずに、このような言い方をするのでしょうか。
理由は1つ、クレーマーの方から「金品を要求した」という事実を作りたくないからです。
この「誠意を見せろ」というキーワードは、暴力団もよく使います。
こういった要求に慣れている輩(やから)は、決して自ら金品を直接要求することはありません。
では、この場合どうするのがベストでしょう。
結論、返金には応じず真摯な対応し続けるのです。
どうしてくれるんだ!誠意を見せろ!
スタッフ
お客様が考える真意が分かりかねますので、具体的におっしゃって頂けますか?
それはアンタが考えろ!
スタッフ
手前どもが考える誠意とは、こうして真摯にお客様に対応し、心からの謝罪をすることが、誠意と考えております
普通は返金するとかだろ!
スタッフ
やっぱり不当要求だー!!
相手の真の目的は、クレームを言って問題を解決させることではなく、金銭を要求することです。
ちなみに対応時間が長時間(30分以上)に及んだ場合は、「業務妨害」に該当します。
また、「返金するまで帰らないからな!」と居座る行為は、「不退去罪」です。
明らかにこちら側に過失があって、本来提供されるべきものが、提供できなかった場合はどうするのでしょうか?
その場合も、可能な限り金銭以外の方法で対応することが望ましいでしょう。
ただ、どうしても金銭での対応が必要なケースもあるかと思います。
その場合、まずトラブルの度合いに応じて返金できる金額の上限と、その権限者を予め決めておきましょう。
そして、返金する際は「解決金」という形で返金するのです。
例えば、「こちらの過失が原因で相手にケガを負わせた」などが、このケースに該当します。
ただし、解決金は「お互い本件に関しては、今後は一切関与しない」という条件下の元、支払われるものです。
法外な額を請求してきたり、追加で金額を請求されたりしても、決して応じないでください。
キーワード② ネットに書くぞ!
不当要求の可能性が高いキーワードの2つ目は「ネットに書くぞ!」です。
SNSや口コミ投稿を参考にして、商品などを購入する方は多いでしょう。
このネット媒体を悪用し、「ネットに書くぞ!」などと脅してくる不当要求があります。
気にする人
ネットに悪評を書かれたら、会社や商品の評判が下がってしまう!
上記のように恐れて「それはご勘弁ください」などと言ってしまう方もいます。
しかし、残念ながらそれでは相手の思うツボでしょう。
ネットに書かれたくなければ、誠意を見せろ!
このように、仕方なく不当要求に応じることになりかねません。
しかし、そもそも「ネットに書くぞ!」と脅迫する行為は、刑法で言えば「脅迫罪」に該当します。
つまり、困るのは「店舗側」ではなく、脅迫罪に問われる可能性がある「クレーマー側」です。
ここを理解していないと、「ネットに書くぞ」→「勘弁してください」→「誠意を見せろ」のコンボが決まってしまいます。
不当要求をするクレーマーの最終目標は「金銭の要求」です。
「ネットに書くぞ」は脅し文句であり、実際にネットに書き込むことが目的ではありません。
万が一ネットに書かれたら、書かれた内容を証拠として残し、弁護士に相談しましょう。
したがって、この場合の適切な対処法は下記のように毅然と対応することです。
ネットに書くぞ!
それは怖いですね。
ただ、手前どもはお客様がなさることに何か言えるような立場ではございません
あえて「怖い」という表現を使うのがポイント。
これは、クレーマーが激昂している時にも使える言葉です。
具体的には「ふざけるな!」「なめてんのか!」「殺すぞ!」などの暴言がある時ですね。
その場合は、下記のセリフのように、まず自分が怖い思いをしていることを相手に伝えてみましょう。
お客様の言動があまりに激しいため、私、いま大変怖い思いをしております
このような言動を続けられる場合は、お客様として対応するのが難しくなります
怖いという意思を伝えることで、クレーマーが落ち着く場合があります。
また、クレーム対応時は必ずポケットに録音機器を忍ばせておいてください。
録音することで、「自分が相手の言動で怖い思いをしている」という事実が、証拠として残せます。
それでもまだ興奮していれば、実際に録音機器を相手に見せつけ「社内規定に則り、これより録音させて頂きます」と告げましょう。
と言いつつ、しれっと最初から録音しておきましょう!
これでクレーマーは下手なことが言えなくなり、興奮を冷ますことができます。
キーワード③ 一筆書け!
不当要求の可能性が高いキーワードの3つ目は「一筆書け!」です。
「詫び状」や「念書」という名目で、書面にサインを求める行為は不当要求そのもの。
岸辺露伴のように「だが断る!」と力強く拒否しましょう。
ヘブンズ・ドアのスタンドを使わなくても、相手の考えていることは分かります。
そう、「金銭の要求」ですね。
書面には、相手の要求を呑むことや、こちら側に責任があることなど、相手が優位に立てる不合理な約束が、これでもかと書かれていることでしょう。
大事なことなのでもう一度言いますが、絶対にサインしてはいけません。
ほら、ここに書いてあるだろう、慰謝料100万円払いますって!
上記のように、こちらが不利になるようなことばかりが書かれているでしょう。
万が一、クレーマーの脅しに屈服してサインしてしまった場合は、すぐに弁護士に相談してください。
クレーマーの脅しによって無理やり書かされたと認められれば、サインが無効になる可能性もあります。
(確実に無効になるとは言えませんので、まずサインしないことが大切)
そもそも、詫び状を書くという行為は、法的な規則があるわけではありません。
文書での回答を相手が求めた場合のみ、「顛末書」という形で事実のみを記載し、社内で確認した上で、個人名ではなく団体名で提出しましょう。
まとめ
ここまで、絶対に応じてはいけないクレーム「不当要求」について、該当するキーワードと対処法を解説してきました。
最後にもう一度、内容をまとめます。
絶対に応じてはいけないクレームは「不当要求」。
不当要求である可能性が高いキーワードは、以下の3つ。
・キーワード①「誠意を見せろ」
暴力団の常套句。真摯に対応することが本当の誠意
・キーワード②「ネットに書くぞ」
書かせればいい。脅迫行為で不利になるには相手側
・キーワード③「一筆書け」
絶対に断る。文書回答はこちらで作成したものを使う
クレームは応じる必要があるけど、
不当要求は一切応じてはいけないんですね!
その通りです!
不当要求防止責任者講習の受講もオススメですよ!